持続可能な社会への挑戦、ロボット人材づくり(中)
2023国際ロボット展(iREX2023)のテーマは、「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」。より良い持続可能な社会の構築には、若い世代のアイデアや実行力が欠かせない。生産労働人口減少や脱炭素化の着実な進展のための技術開発など、社会課題が表面化し、こうした課題解決の糸口として、新しい発想とチャレンジを必要としている。(上)と(中)では、日本独自の教育システムでこれまでに多くのエンジニアを輩出してきた高等専門学校(高専、KOSEN)人材のiREX2023での活動を振り返る。また、(下)では、ロボット活用の可能性をコンテスト形式で発表した「ロボットアイデア甲子園」などを紹介する。
KOSEN×ロボット、多種多様な最新技術を披露
全国に51校ある国立高専を擁する国立高等専門学校機構が、iREXに初出展した。もともと高専(KOSEN)といえばロボットを思い浮かべる人も多く、ロボットコンテストに代表される関連プロジェクトに関わる学生も多いことから、ロボット産業に携わる人材を多数、送り出しており、最新技術の展示に多くの人が足を止めていた。
今回、高専生の人材育成として、ロボット、人工知能(AI)・数理データサイエンスといった次世代基盤技術教育をカリキュラム化させる「COMPASS5・0」と、エネルギーや防災など未来技術の社会実装教育の高度化を目指す「GEAR5・0」の二つを意識した展示を行った。
12月23日に福島県楢葉町で行われる「第8回廃炉創造ロボコン」のPRのほか、東京高専は東京都八王子市に残る戦争遺跡の一つ、浅川地下壕の3次元(3D)デジタルアーカイブを発表。このほかにも、各高専の研究成果がパネルと実機で紹介された。
教務と研究を横断する展示は各高専の教員間で新しい発見があるという。ブースで対応していた津山高専に通う学生は「自分たちが開発したものを説明した時、人の心を動かせると感慨深さを感じる」と展示会での説明のやりがいを語った。
神戸高専/共同開発の吸盤付き水中ドローン
神戸高等専のブースでは、吸着機能をメーンとしたロボットの展示を行った。「港湾検査用水中吸着ROV」は、神戸高専と高専発ベンチャーUniversal Hands(神戸市中央区)と共同開発した水中ドローン。会場では試作機を展示した。
構造物の壁面に吸着してとどまり観測・点検を行う。港湾では土砂流出を未然に防いだり、鉄の杭の腐食具合の検査に使われたりする。同社は11月14日に国土交通省の中小企業イノベーション創出推進事業に採択され、最大2億円の支援を受けて事業化する。関係者によると、試作機を作るに当たり、機体に中性浮力を与えるため浮力材を付けてみると、操作やセンサーに干渉してしまい取り付け場所に苦労したという。
このほかにも、足の先に吸引グリッパーを搭載した「4足壁上りロボット」のデモも注目を集めていた。ビルやダムなどの壁面から地面へ移動しながら、精密測量する用途に提案している。
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