持続可能な社会への挑戦、ロボット人材づくり(下)

 2023国際ロボット展(iREX2023)のテーマは、「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」。より良い持続可能な社会の構築には、若い世代のアイデアや実行力が欠かせない。生産労働人口減少や脱炭素化の着実な進展のための技術開発など、社会課題が表面化し、こうした課題解決の糸口として、新しい発想とチャレンジを必要としている。(上)と(中)では、日本独自の教育システムでこれまでに多くのエンジニアを輩出してきた高等専門学校(高専、KOSEN)人材のiREX2023での活動を振り返る。また、(下)では、ロボット活用の可能性をコンテスト形式で発表した「ロボットアイデア甲子園」などを紹介する。

ロボットアイデア甲子園! 4年ぶりに会場開催

  • 最優秀賞を受賞した熊本高専の鍋島優羽さん
    最優秀賞を受賞した熊本高専の鍋島優羽さん
  • 準優勝は愛知県立半田工科高校の藤原大惺さんが受賞
    準優勝は愛知県立半田工科高校の藤原大惺さんが受賞
  • 多くの観客を前に学生がプレゼンする。
    多くの観客を前に学生がプレゼンする。

 東8ホール奥で、最終日に一段と活気のあるエリアとなっていたのが「ロボットアイデア甲子園! 全国大会」の会場。高校生、高専生、専門学校生などを対象に、新たな産業用ロボットの活用案を提案してもらうアイデアプランコンテストで、日本ロボットシステムインテグレータ協会が主催する。今年はコロナ禍を経て4年ぶりに東京ビッグサイトでの開催とあり、全国の学生たちがくり広げた熱のこもったリアルのプレゼンに多くの観客が集まった。

 事前に6月から行われていた地方大会を勝ち抜き集まった25人の中から、最優秀賞にはラーメン屋台をロボットで無人運営する「Ramen Robot“大将”」を提案した熊本高等専門学校の鍋島優羽さんが選ばれた。ラーメンの麺をゆでる工程や湯切り、具材を載せる工程など一連を自動化した無人屋台というジャンルの確立に加え、日本の文化を海外に伝えるというビジネスプランを含めた提案に多くの評価が集まった。準優秀賞は、愛知県立半田工科高校の藤原大惺さんの「緊急AEDドローン」で、緊急時にドローンで自動体外式除細動機(AED)を取り寄せられる仕組みの提案が評価された。

 最優秀賞の鍋島さんは「将来の夢はロボットエンジニア。小学生の時に熊本地震で被災した経験から、災害時の人命救助ロボットを作りたい。こうした賞をいただけて、その夢に向かって進みたい」と力強く語った。

 久保田和雄同協会会長が「コンテストを聞いていて、会場から笑い、笑い、笑いが大きく、盛り上がってすばらしい大会になった」と言うとおり、未来社会を良くしたいと願って学生たちが出してきた自由なアイデアや自ら提案する姿に、多くの大人たちは笑いと涙で聞き入っていた。

同協会ではこのコンテストを通じ、学生たちに実際にロボットを見て触れて考えてもらう機会を提供するとともに、ロボットの活用拡大に欠かせないシステムイングレータの仕事を知ってもらう機会としていく方針だ。


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