見どころ満載!国際色豊かな祭典(後編)
高パフォーマンスで日本市場での存在感示す
AUBOロボティクスはAUBO ROBOTICS TECHNOLOGYの日本法人。一つのシリーズでさまざまな業界を支える協働ロボットを展示している。例えば、バリスタの技術を再現したラテアートを作成できる。人間がラテアートを行うためには繰り返し練習し技術の習得が必要だが、ロボットにはその必要がなく、体調を崩すこともないため、スタッフの代わりとして活躍できる。またこのロボットは強力な防水性能を持つため、水中でも安全に高品質に使用可能で、オプションでは防水・防塵規格「IP68」まで対応する。
同社は日本の展示会に初めて出展した。AUBO ROBOTICS TECHNOLOGYの李剛CEO(最高経営責任者)は「日本は保守的な国だと世界から思われているように感じるが、私は日本はオープン的な国だと思う。海外の製品であっても、コストパフォーマンスが高くサービスが良ければ認めてもらえる」と日本でのビジネスに期待を寄せる。
Youibot(ユーアイボット)は中国深圳市に本社を置く自律走行ロボット(AMR)とそのソリューションを提供するメーカ-。2024年秋に日本法人を設立予定だ。一般的産業物流と半導体業界をメーンターゲットとしているが、今後日本では自動車部品工場などにも導入を考えている。
今回の展示品の目玉はPシリーズの「P200」と「B300」。B300はiREX203会場で世界初公開した。レーザーSLAMを用いた位置決め精度はともにプラスマイナス10ミリメートルで、群制御は実績で最大200台、能力的には最大1000台まで対応できる。最大積載荷重はP200が200キログラム、B300が300キログラム。
担当者は「小型で高いパフォーマンスを誇る当社のAMRは、来場者から高く評価されている。世界的には、無人搬送車(AGV)はよく知っているがAMRについてはよく知らない人も多いように感じる。iREXの来場者はAMRについてもよく知っているので、商談がはかどる」と話す。
KEENON Roboticsは日本法人を通じて出展した。配膳配送ロボットの紹介に加え、多用途清掃ロボット「C30」も実機展示している。C30は24年に日本投入を予定しており、清掃に必要な機能を集約したことで、大幅なコストダウンを提供できる。最大掃除パワーは450ワットで、自動充電機能を持つ。
ロボット開発・保守に欠かせない計測器
リゴルジャパンは中国・蘇州市に本社を構えるリゴルテクノロジーズの日本法人。ロボット開発や保守に欠かせないオシロスコープなどの計測器を展示している。奥行き約6センチメートルの薄型で小型のオシロ「DHO900シリーズ」に注目が集まった。出力48ワット以上の外付けモバイルバッテリーで駆動し、周波数帯域は125メガ-250メガヘルツまで3機種をそろえる。ブースにはロボットメーカーのエンジニアが多く来場する中、機能や性能などの訴求と反響の良さに、今後のビジネスにつなげる考えだ。
ゲーム技術応用のデジタルツイン提案
現実世界を仮想空間上に再現する「デジタルツイン」の活用提案で来場者の注目を集めていたのが、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン。米国のユニティ・テクノロジーズの日本法人で、ゲーム向けに培ってきたリアルタイム3次元(3D)技術の産業用途への技術提供を積極化している。
会場では、川﨑重工業との共同プロジェクトで進める「ROBO CROSS」の事例として、ロボットの動作シミュレーションや稼働状況などさまざまなデータを鮮明なデジタルツイン上で可視化し、トラブル復旧支援システムなどにつなげられる最新ソリューションを提案している。「日本の産業見本市で本格的に出展したのは初めて。少量多品種など複雑な制御が必要なさまざまな現場でデジタルツインの活用を促していきたい」(同社担当者)と力が入る。
ドイツロボット産業を訴求
ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)は、ドイツに進出する日本企業への支援を行う中、日独協調のビジネス創出の場として、ドイツ産業の魅力や欧州ビジネスの中心地としての存在感を発信している。特にザクセン州は欧州のシリコンバレーと呼ばれ、自動化とロボット産業に力を注いでおり、東部ドイツ機械装置産業連盟やドイツ機械産業協会、ドレスデン工科大学などの団体・研究機関のほか企業が集積している。iREX2023開催に合わせて、これら団体・研究機関、企業で構成した視察団が同展を見学。日本企業との交流を深めた。
GTAIブースでは16時に「ハッピーアワー」を設け、プレッツェルとドイツビールが振る舞われる。期間は12月1日まで。
ベッコフオートメーション日本法人(横浜市中区)は、4月に開催されたハノーバーメッセで初披露となったモジュール式産業用ロボットシステム「ATRO」を日本初公開した。
ATROはドライブ機能を内蔵したモーター、さまざまな形状の接続機器など標準化したモジュールとしてラインアップ。これによりユーザーにとって最適なロボットが組み立てられ、ソフトウエア「TwinCAT」で制御できる。自動化要望が強まる中、iREXでは注目を集めている。ATROは2024年12月に市場投入が予定されている。
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